経済産業省リビングラボで、睡眠改善の生産性向上効果を実証


経済産業省内リビングラボにおいて、睡眠に関する測定・分析と睡眠保健指導を行い、睡眠の質と生産性の大幅な改善を実証・報告しました。

こどもみらいでは、令和2年1月~3月に経済産業省において実施された「睡眠」をテーマとする省内リビングラボに参加し、睡眠に関する各種ベース指標の測定・分析、そして睡眠保健指導「eSLEEP」の実施とフォローアップを行い、その結果、睡眠の質や生産性の大幅な改善が見られたことを報告しました。

 

測定・分析結果

睡眠に関する各種ベースの指標を、睡眠の質や睡眠衛生、そして生産性を合わせて調査できるストレスチェックサービス「STRESCOPE」と「eSLEEP」を活用し、以下の指標について測定を行いました。

・睡眠の質(PSQI: ピッツバーグ睡眠質問票)

・ストレス反応(職業性ストレス簡易調査票)

・生産性の低下(WLQおよびWHO-HPQ)

この結果、回答者96名中45名が医学的問診票上「睡眠の問題あり」と判定され、また、46名は本人の本来の生産性を4割以上損なっていることなどがわかりました。

 

保健指導・フォローアップ結果

対象者をランダムに介入群と対照群に割り付ける「ランダム化比較試験」を実施し、介入群に割り付けられた42名に対して、「eSLEEP」を利用し、1対1による対面の面談形式での睡眠保健指導およびフォローアップを提供しました。

この結果、特に事前に睡眠に関する問題があったグループについて、睡眠の質・生産性に以下のような大幅な改善が見られました。

睡眠障害スコア(PSQI) 22.1% 改善**
寝つくまでの時間(平日) 39.6% 短縮**
寝つくまでの時間(休日) 33.6% 短縮**
中途覚醒等の頻度 19.0% 減少**
プレゼンティズム(WLQ生産性ロス) 17.7% 改善*
生産性(HPQ) 25.6% 改善*

**,*=統計学的にそれぞれ5%水準、10%水準で有意

面談を受けた方のアンケートより

総合的に面談を受けて良かったと思いますか?

参加者の意見・感想(抜粋)

・睡眠が身体と心に与える影響を知り、睡眠時間を確保する生活を心がけるようになった

・平日と休日の睡眠時間の差(特に時間帯)を可能な限りゼロにすることが精神・肉体のリズム管理に重要であることを認識できた

・地道に面談を通じ、睡眠も含め、食事や運動など、生活全般についてのアドバイスを受け、行動変容を促すのは、ありだな、と思った

・繁忙部署・職員にこそこのようなラボを受けることが重要だと思う。

・組織として対策を同時に取らないと、この取組によって具体的な効果があるかどうか評価することも難しいと思います。

 

経済産業省内リビングラボについて

リビングラボは、社会課題を解決するビジネスを生み出す手法として近年注目されている、ユーザー・市民参加型の共創活動であり、多様なステークホルダー(生活者、民間企業、自治体職員等)が共に関わり合いながら革新的な商品・サービスの開発・向上を目指す点に特徴があります。

経済産業省では、リビングラボの考え方を全国的に周知・普及することや、企業・団体等の組織単位のリビングラボモデルを構築することを目的として、3000人超の職員(生活者)を抱える経済産業省も一つのリビングラボとなるのではという考えのもと、省内リビングラボの取り組みを行いました。

具体的には、経済産業省の組織・職員が業務に関連して日常的に抱えている課題の一つとして、「睡眠」をテーマに、職員が「①介入策(プログラム)」を実践しながら、心理的ストレスに関係性の高い指標を測定するための「②測定機器」を使用し、それぞれをベース測定指標(信ぴょう性の高いとされるもの)と比較することで効果の検証を行う、という形により実施をしました。

 

こどもみらいでは、睡眠・健康に関するプロジェクトのご相談を受け付けています

株式会社こどもみらいでは、睡眠や健康に関するプロジェクト参加など各種サービスを企業・学校向けに提供しています。

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株式会社こどもみらいについて

株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームです。複数の大学医学部等との協働で行う睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となるストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。

 

eSLEEPについて

eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。

 

STRESCOPE について

STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。