寝ないと太るは本当???


「最近、食べ過ぎてしまうなぁ」と罪悪感に苛まれているそんなあなた、睡眠を見直してみてはいかがでしょう。
食後のスイーツ、一杯ひっかけた後のラーメン、仕事や勉強の合間のスナック・チョコレート、ついついカロリーを摂りすぎてしまった経験、誰もがありますね。これ、実は、睡眠とホルモンが関係しているのです。

 

睡眠不足になると、食欲を抑制するレプチンというペプチドホルモンの分泌が減少する一方で、食欲を増進させるグレリンというペプチドホルモンの分泌が増加するため、食欲に歯止めがききにくくなります。すなわち、睡眠不足が食欲に関するホルモンのバランスを崩し、肥満につながりやすくなるのです。

 

 

 

実際、睡眠不足になると肥満傾向になるということが学術的にも数多く証明されています。

例えば、イングランドのワーウィックメディカルスクールが興味深い研究成果を発表しています。当該研究は、1982年から2007年の研究をもとに、総計30,002人の子供および604,509人の大人を対象として含んだメタ解析として実施され、短時間睡眠の子供は1.89倍・短時間睡眠の大人は1.55倍、肥満リスクが高まるという結論が導かれました(グラフ1)。

グラフ1

参考文献:P. Cappuccio, MD, Sleep, Volume 31, Issue 5, 1 May 2008, Pages 619–626

 

また、睡眠不足になるとカロリー摂取量が増加するということも明らかにされています。Nedeltcheva教授らがThe American Journal of Clinical Nutritionで公表した論文によると、睡眠不足になると1日のスナック摂取量が221キロカロリー増加することが証拠づけられました。当該研究は、11人(5人の女性・6人の男性)の健康なボランティアに、5.5時間または8.5時間の睡眠時間をそれぞれ設定し、摂取されたカロリーを測定するというものです。面白いのは、5.5時間と8.5時間の睡眠時間における摂取カロリーを比較すると、通常の食事からの摂取カロリーはそれぞれほぼ同様であるのに対して、スナックからの摂取カロリーのみが5.5時間睡眠において増加しているという結果です。すなわち、睡眠不足になると、221キロカロリー余分に食事ではなくスナック菓子から摂取してしまう傾向にあるのです。ちなみに221キロカロリーはチーズケーキ約1個分に相当します。

参考文献:Nedeltcheva, The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 89, Issue 1, January 2009, Pages 126–133

 

さらに、睡眠時間と食欲に関するホルモンとの関係性も証明されています。例えば、ウィスコンシン大学が実施したコホート研究により、睡眠不足が、食欲を抑制するレプチンの分泌を減少させ、食欲を増進させるグレリンの分泌を増加させることが明らかになりました。当該コホート研究は、1024人のボランティアを対象に実施され、5時間睡眠は8時間睡眠の人と比べて、レプチンの分泌が15.5%少なく、グレリンの分泌が14.9%多いことを定量的に示しています(グラフ2)。

グラフ2


参考文献;Taheri1, PLoS MEDICINE,Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin, Elevated Ghrelin, and Increased Body Mass Index

 

このように睡眠と肥満には大きな相関性があります。「最近、食べ過ぎてしまうなぁ」「太りやすくなってきたかも」と思っているあなた、睡眠のとり方を見直してみてはいかかがでしょうか?